完全自社開発・製造のムーブメントを搭載する傑作

10回の連載を締めくくる時計は「永久カレンダー搭載スプリット秒針クロノグラフ」だ。9回目の「カラトラバ」で、パテック フィリップを世界最高峰のウォッチメーカーたらしめている理由のひとつを美意識の継承としたが、やはり最大の理由は、伝統を継承しながらも技術革新を続け、つねに先端技術を開発し続けていることにある。

同社が本格的に腕時計開発に取り組み始めたのは1910年代のこと。1922年とその翌年にはスプリット秒針クロノグラフ搭載の腕時計を、1925年には永久カレンダーを搭載した腕時計を発表している。どちらも懐中時計には搭載されていた機構だが、これを腕時計サイズに小型化することは高い技術力のみならず、想像力も要求される作業だ。

ただし地力に勝るパテック フィリップは、数々の困難をクリアし、1927年にはシンプル・クロノグラフおよびスプリット秒針クロノグラフを搭載した腕時計のシリーズ生産をスタート。1941年には永久カレンダー搭載の腕時計シリーズの生産を始めている。