手巻き。毎時2万1600振動。50時間パワーリザーブ。ケース径37.0mm

ブレゲの現社長は、スウォッチ・グループ会長のニコラス・G・ハイエック氏が兼任している。同グループ内でそれだけブレゲというブランドが重きをなしている証と言えるだろう。そしてハイエック社長は、約200年前に創業者のアブラアン-ルイ・ブレゲが発明した名作を、現代に復活させることにこれまでも邁進してきた。

この「ブレゲ トラディション」の2005年モデルは、そのハイエック社長の陣頭指揮で生み出されたもの。過去のブレゲの懐中時計の機構をほとんどそのまま再現した腕時計である。18KYGまたは18KWGケースに収められたムーブメントは、文字盤側が時刻表示板以外、スケルトン構造となっているため、その機構を余すことなく観賞することが可能だ。

香箱はセンターに配置し、時計の6時側に時計の動力伝達を受け持つ輪列機構と、時計の精度を司る脱進機を置くレイアウトは、過去の懐中時計にインスパイアされたものといえよう。

さらにパワーリザーブ表示もブレゲが発明した当時の機構を再現している。テンプもブレゲが考案した独特の形状だ。ブレゲは19世紀に、現在でいうところのフリースプラングシステム(小型のネジの出し入れによりテンプの重量バランスをコントロールしながら、精度の微調整を行うための機構)を作り上げているが、現行「ブレゲ トラディション」には、そのシステムも採用されている。むろん、ヒゲゼンマイの形状の歪みを防止するために、ゼンマイの巻きの最後の端をより小さなカーブにする、いわゆる“ブレゲヒゲ”も再現されている。

そして極めつけは、これもブレゲの考案になる耐振装置“パラシュート(パラショック)”の採用だ。テン芯を受けるルビーに窪みを設け、板バネを配した土台に乗せるもので、テン芯に掛かろうとする衝撃を吸収してしまう、見事なショックレジスタンス機構だ。パラシュートには現代的な改良を施し、新たにパテントまで取得している。ここまで見事にブレゲの機構の数々を甦らせるとは、歴史的な機構の再現に賭けるハイエック社長の熱意を感じざるを得ない。