ゼニス:エル・プリメロ410【バーゼルワールド2014新作腕時計】

昨年末、限定で登場したエル・プリメロ410がレギュラーモデルとして再登場します。

シルバー文字盤のシンプルなデザインを基調としており、昨年のグレー文字盤を採用した限定モデルとはまた違った雰囲気ですが、ボックス型風防と凝った形状のアプライド・インデックス、そしてエッジを立ててサイドを絞ったケース形状などでしっかりと立体感を演出しています。

近年のゼニスの主流はクラシックで簡潔なデザイン。

ゼニス エル・プリメロ410

ストレートにクオリティの高さを表現しており、それだけでも充分に魅力的なプロダクトが多いと感じますが、やはりこのモデルのキモは、トリプルカレンダーとムーンフェイズを付加した複雑なエル・プリメロ、Cal.410でしょう。

Cal.410の歴史はことのほか古く、世界初の本格派自動巻クロノグラフとして高名な初代エル・プリメロ、Cal.3019PHC登場の僅か2年後の1971年、トリプルカレンダーとムーンフェイズを付加したコンプリケーション、Cal.3019PHFとして登場したのがその原型と言われています。

この特別なエル・プリメロ、Cal.3019PHF搭載機には、“El Primero” の代わりに “Espada”(剣の意) の銘が与えられ、文字盤に刻まれていました。

クロノグラフ機構と自動巻機構を同居させること自体が簡単では無かった時代に、スペースを取るものの、古典的で審美的に優れた水平クラッチにコラムホイールに拘る一方で、簡素なリバーサによって自動巻機構をコンパクトにまとめたエル・プリメロ。

更には36,000振動/時というハイビートによって高精度を紡ぎだし、クロノグラフによる1/10秒までの計測を可能としたという、当時としては驚異的なスペックを持っていました。

ゼニス エル・プリメロ410

古典的な美しい意匠と高い機能性を持ち合わせるエル・プリメロは、機械式クロノグラフに興味を持つ人全てを魅了して止まず、長きに渡ってゼニスと言うメゾンのフラッグシップとして、そして21世紀の現代においても新しいファンを獲得し続ける、クロノグラフの名機として君臨を続けています。

その一方、ハイビートの動力源に求められる高いトルクに起因する様々な技術的問題は、ゼニスの技術者達を大いに悩ませることになりますが、同社のエル・プリメロに対する拘りや誇りは、常にこの傑作機を進化させ続けています。

近年では公式発表の無いまま脱進機がシリコンに置き換わっており、技術的な数値等も未だ未発表と思われる状況ではありますが、摩擦や誤差が少なく、高効率なシリコン製脱進機は、ハイビートクロノグラフであるエル・プリメロにとって、非常に大きな進歩であることは間違いないのです。