バーゼルワールドで発表されたエルメスの新作

スリム ドゥ エルメスと名付けられたその新作は、その名のとおり、薄型でシンプルそのものといえる外観を持つもの。

決して派手ではありませんが、際立った個性と高い質感、そして時計としての高い完成度を兼ね備えています。

そんなこのモデルのキモは、何といえってもその個性あふれるアラビア数字インデックスでしょう。

この印象的なフォントのインデックスは、現役グラフィックデザイナーとして多数の栄誉に輝き、1997年以降国際グラフィック連盟のメンバーも務めるというフィリップ・アペローグ氏のデザインによるもの。

それは全く新しいものであるにもかかわらず、エルメスが伝統的に使い続けてきたものと説明されれば、何の疑いもなく信じてしまいそうなくらいに、同社のイメージに何の違和感もなく調和しているのです。

そんなインデックスが配され、シルバーメッキで仕上げられた文字盤は、外周と内周、そしてスモールセコンドの3つのレイヤーからなる立体感に富むものであり、スモールセコンドと内周部に彫り込まれた、レコード溝と呼ばれる細かな同心円パターンと相まって、多彩な表情を見せます。

そしてこれにフィットする長短針はカウンターウエイトを持たないモダンなデザインのバトン型で、半分が磨き込まれた鏡面、もう半分がマットに艶を消した仕上げとなっており、文字盤と針のクリアランスをしっかりと詰めながらも、あらゆる光の下で文字盤に針が埋没することなく、良好な視認性が確保されるように配慮されています。

そのケースは、ベゼルを細くして開口部を大きくとった、昨今の薄型時計として典型的といえるデザインバランスを持っていますが、さりげなくも個性的なラグ形状とともに、バウハウスの香りも感じられる点は注目すべきでしょう。