次世代に連なる換骨奪胎の手法

技術的にも造形的にも時代の殻を打ち破るような挑戦を繰り返してきたオーデマ ピゲ。その最新コレクションとなる「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」(以下、コード11.59)は、新たなユーザー層の開拓を最大のミッションとした意欲作だ。

そのデザイン手法は、アーカイブのなかから“オーデマ ピゲらしさ”を抽出し、再解釈して組み合わせ、全く新しいスタンダードを生みだそうというもの。一見、シンプルに見えるラウンドシェイプのなかにも、様々な“コード”が隠されている。まず目に付くのは、ミドルケースを形づくる八角形のオクタゴナルシェイプだろう。

造形美のハイライトはサイドビューだ。中空仕上げのラグにロイヤル オークを思わせるアングラージュが施された八角形のミドルケースが収まる
サテナージュ(サテン仕上げ)とアングラージュ(面取り)を巧みに組み合わせた仕上げは、ロイヤル オークにも通じるものだ。また、ベゼル幅を絞り込んでダイアル開口部を大きく取るのは、現代的なウオッチデザインの常套手段だが、オーデマ ピゲではこれを1940年代から採り入れている。たとえば41〜43年にかけて製作されたクロノグラフや、45年頃のミニッツリピーターなど、この時代における同社製作のコンプリケーションモデルが使ったラウンドケースは、総じてベゼルが細く仕上げられている印象が強い。最新のコード11.59が、どこかオールドピースの風情を漂わせているのは、このあたりのバランス感覚に秘密がありそうだ。